2016/07/01

「俺たちの国芳わたしの国貞」展、行って来ました<2>

神戸市立博物館「俺たちの国芳わたしの国貞」展の感想、その2.

その1はこちら→


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ベロ藍一色で描かれた高級遊女。と思いきや唇だけ紅い。フルカラーとはちがった艶やかさが際立ちます。画像は国貞の絵を展示用にしたものだけれど、憧れの美しい遊女が座敷へ入って来た、息がとまるようなその一瞬を彷彿とさせますね。今回の展示ではこういう遊び心あふれる仕掛けがたくさんあって、そういうところも非常に楽しかったです。

例えば、説明文のキャッチも「当世艶姿考」はアデモード・スタイル、「髑髏形彫物伊達男」はスカル&タトゥー・クールガイと読ませるなどイキイキと躍っていて、おそらく江戸時代の人々がまさに当世流行スタイルとして楽しんだだろう、その感覚をなぞるような気持ちになれるのが面白い。

ふきだしなども付いていて、八百屋お七が半鐘を鳴らして木戸を開けさせ、飛び降りる刹那の絵に「滑空する殉愛」。胸元を開いて団扇を仰ぐ美女に一言「俺は風になりたい」などなど。


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そんな中でも、とびきりかっこいいなと思ったのがこちらのキャッチ。
「畏怖大海原(ホラーオブウォーター)」。
荒れ狂う海の中、怪物のように巨大な姿を現す鰐鮫。壮大なファンタジー戦記を描いたこの3枚続きの絵は、江戸の人々の度肝をどれほど抜いたことでしょうか。

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「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」歌川国芳

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有名な絵ではありますが、近づいてみると鱗の表現すごい…!

同じくこちらの海底の図も、なんとも不気味。

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「大物之浦海底之図(だいもつのうらかいていのず)」歌川国芳

壇ノ浦で滅亡した総大将・平知盛ら平家一門が、亡霊となって義経に仇を討とうと海底で陣を張るところ。もはや平家だけど人にあらずの風情がビシバシ伝わってきます。

また江戸時代の見世物について調べている私にとって、国芳の描いた早竹虎吉の絵や、一ツ家の鬼婆の絵の実物を見ることができたのもうれしかったです。七之助丈の音声ガイドで、一ツ家の鬼婆の絵の解説に、「この絵はお寺に奉納され、その後この絵をもとに生人形が作られたといいます」とのこと。おそらくその生人形を作った人形師は松本喜三郎でしょう。喜三郎の鬼婆は、あまりに真に迫っていて夜中に声をあげるといって処分されかけたとか。しかしその鬼婆の生人形の見世物絵をまた国芳が描いているのですよね。ぐるっと回ってる?

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「江戸ノ花 木花渡(えどのはな このはなわたり) 早竹虎吉」歌川国芳

幕末の軽業名人・早竹虎吉は、30種類以上もの錦絵が一度に刷られるなど、大坂・江戸など各地で大変な人気を集めました。

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この絵もよく見ると、右の子供がめちゃくちゃ不安そうな顔をしているのに気づきました(笑)
片方の子は楽しそうなんですが、こういうところに気づく国芳もハラハラしながらこのワザを見上げていたんでしょうか。

そのほか、「狂画水滸伝豪傑一百八人十番続之内」なども面白かった。ネットや画集などで見慣れているものでも、現物(版画ですが)を前にすると、まだまだ新たな発見や感動がありますね。なるべく美術館・博物館へは足を運ぶべきだなあと強く思った次第。別に館の回し者ではありませんが。

最後に、ショップで、私が一番楽しみにしていた「むだ書き」のマスキングテープがもう売り切れていたことだけが残念でした。あれ再販してくれないかなあ。ないとなると余計欲しくなる。人間だもの。

というところで、まだまだ書き足りない気もしますが、これ以上書いても蛇足なような気もしますのでこの辺で。
これから行かれる方は、どうぞ楽しみにお出かけくださいね。




2016/06/29

「俺たちの国芳わたしの国貞」展、行って来ました

神戸市立博物館「俺たちの国芳わたしの国貞」展へ行ってまいりました。

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まずこのタイトルセンスがすばらしい。
少年漫画のように迫力満点の絵で知られる国芳に対して、少女漫画のように華やかで洗練された美人画が人気を集めた国貞。国貞のほうが兄弟子で、当時は国芳よりもずっと早く売れた人気画工だったわけですが、現在では国芳人気のほうが急沸騰。かくいう私も国貞については最近意識しはじめた部類で、こんな風に二人の作品をたっぷり見られるなんてとってもうれしい経験でした。いや、実際に3枚つづき、7枚つづきなどの連作ものを見ると圧倒されて心が震えますYO。江戸時代に飛んで片っ端から買い占めたくなりますYO!

展覧会の展示にしては珍しく写真撮影OK(フラッシュはNG)だったので、あちこち撮りまくり。

CmHkUQdUgAA-gJz.jpg「御誂(おあつらえ)三段ぼかし」歌川国貞

CmHkUQeVAAA93G2.jpg「秋野七草之景(あきのななくさしげりのけい)」歌川国貞

どうですかこのポップさ、かっこよさ。心が溶けそう。
実はこの展覧会のテーマソングをB’zの松本孝弘さんが手がけていて、とてもかっこいいのですが、それを音声ガイドで聞きながらこの絵を眺めていると、まるで絵の中から一人ずつポーズをキメながらランウェイを歩いてくるよう。音声ガイドの中村七之助丈の、時に歌舞伎の声色で絵の中の登場人物になりきる説明の仕方もまたよし。
「はて、ここは江戸か、平成か?」
不思議な感覚に襲われます。

そして私が一番、わぁっ!と声をあげそうになったのが、この一枚。いや、4枚。

CmHusaIVEAAsqeH.jpg 「里見八犬士之一個(さとみはっけんしのひとり)」歌川国貞

国貞もどうして、「俺たちの国貞」じゃあありませんか。この絢爛豪華な八犬伝の各シーン。
台詞や掛け声が聞こえてきそう。
個人的に「里見八犬伝」というと、1983年の映画「里見八犬伝」を思い出すのですが、あれもどぎついようなエンタメ作品(褒め言葉)でしたけれど、江戸時代も負けず劣らず、いやもっとギラギラしてますね(笑)いいなあ、好き好き。

20130329231236ef2.jpg ↑これです。「里見八犬伝」(1983年の映画)

もちろん「わたしの国貞」だけあって、小物までファッション性ばつぐんの美人画も多数。
私が今回心惹かれた美女はこちら。

CmH0iy9UYAUEnhs.jpg 「見立邯鄲(みたてかんたん)」歌川国貞

嫣然と微笑む団扇美人。透ける団扇の色っぽさ、そして洗いざらしの髪にさした櫛の柄の見事さ。この絵自体が団扇に刷られた団扇絵なので、この団扇を実際に手にしている女性を想像すると、それもまたときめきますね。

さて、次は国芳…と思ったのですが、存外長くなってしまったので、この続きはまた後日に。
よろしければまたお付き合いください♪
その2へ続く→



2016/06/06

「江戸の見世物は、こんなに楽しい!」トークライブ無事終了しました

ゆる江戸の創刊を記念したイベント、「江戸の見世物は、こんなに楽しい!」@古書カフェくしゃまんべ
おかげさまで、無事終了いたしました!

講演会チラシ_最小

なんとなんと当日は約20名ほどのお客様にお越しいただき、こぢんまりとしたカフェはぎゅうぎゅうに。誰に頼まれたわけでもなく私が勝手に創刊して私が勝手に記念しただけのイベントに、こんなにたくさんの方々が来てくださるとは思いもしていませんでした。

すぐお近くの方から、なんと金沢からはるばるという方まで(!)。江戸時代に興味がある方、見世物や大道芸に興味がある方、それぞれのご興味はさまざまでしたが、こちらの拙い話に笑ったり、うなずいたりと大変熱心に聞いてくださるので、だんだんと私もノッてきてしまいました(笑)まさにライブの醍醐味を教えていただいた感がします。ありがとうございました。

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於:古書カフェくしゃまんべ

トークライブということで、まず最初に1時間ほどプロジェクターを使って「江戸時代の見世物」について、どんなジャンルがあったのか、早竹虎吉、竹沢藤次、深井志道軒、霧降花咲男などなど、個性の強いスターたちがどのように活躍していたのかをご紹介。

今回ご来場いただいた方にはもれなく「ゆる江戸」の冊子を進呈させていただくことになっていましたが、ご予約の段階ですでにお持ちの方も何名かいらっしゃる模様。ですので、なるべくその冊子には掲載していない浮世絵や画像を使用して、既読の方もお楽しみいただけるようあれこれとない知恵を絞ってみました。特に生人形については珍しい画像も紹介させていただいたので、イベント終了後のアンケートでも印象的だと書かれている方が多く、ほくほく♪

その後、休憩をはさんで、今度はスペシャルゲストの山本静さんにも入っていただき、「現代のパフォーマーから見る、江戸時代の見世物」として、いろいろお話をうかがいました。カフェの店長・竹内さんにも助け舟を出していただきながら、よもやま話や、早竹虎吉だと思われる写真(三原文著「日本人登場」より)を紹介させていただいたりと、思いのほか盛りだくさんに。

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バーテンダーとしてカクテルも作ってくださった静さん。黒エプロンがかっこいい!

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今回はスペシャルカクテルセットをご用意。バンブー(竹)というカクテルと、とらやの羊羹で幕末の軽業スター「早竹虎吉セット」という楽しい企画でした♪


気づけば、19時~21時すぎまであっという間。私の話はたどたどしかったと思いますが、テーマが「江戸時代の見世物」という珍しい内容だっただけに、お楽しみいただけたようで(?)何よりでした。人生で初めてのトークライブ、得難い経験をアットホームな雰囲気の中でさせていただいたこと、関わったすべての皆さまに御礼申し上げます。ありがとうございました。

普段お会いできない遠方の方や、さまざまな職業の方、趣味のあう方など、いろんな方にお会いできたのもうれしくてたまりませんでした。「ゆる江戸」は、イベント中にもお話しましたとおり、2号、3号と続けていくつもりです。

次号は「江戸のグルメ」を予定。
ですので、またぜひぜひ皆さまとお会いできる機会のありますことを、心から願っております。
またの日を楽しみに!
本当にありがとうございました!

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お着物姿の麗しいお客様に囲まれてウハウハの私(左から2番目の花柄模様の着物です)
思えば皆さんで写真撮影したらよかったですね~。次はぜひ!


<「ゆる江戸」創刊号の冊子について>
おかげさまでネット販売分は完売いたしました。ありがとうございます。現在、東京の千駄木のステキな古書店「古書ほうろう」さんに少部数おいていただいておりますので、もしこの記事を見てご興味をもたれた方は、ぜひぜひほうろうさんへ!
来年の初頭をめざし2号目を発行予定。その際に創刊号も増刷予定ですが、今のところそれまで増刷の予定はございませんのでよろしくお願いいたします。

2016/05/10

ゆる江戸発行記念イベント「江戸の見世物は、こんなに楽しい!」開催します◎

<こちらのイベントは終了いたしました>
ありがとうございました。イベントの報告記事はこちらです→「江戸の見世物は、こんなに楽しい!」トークライブ無事終了しました

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このたび、「ゆる江戸」の発行を記念して、トークライブイベントなるものを開催させていただくことになりました。

タイトル/江戸の見世物は、こんなに楽しい!
日程/6月3日(金)、18:30開場、19:00開演
場所/古書カフェ「くしゃまんべ」
※東京都北区豊島1-7-6-102(各線王子駅から徒歩5分!)
TEL 050-5891-8158

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ご予約も可能ですので、もうこの際、ぜひぜひ!
ご予約フォーム→https://www.quartet-online.net/ticket/yuruedo

スペシャルゲストに、「ゆる江戸」でインタビューをお受けいただいたパフォーマーの山本 静さんをお招きし、江戸時代の見世物の面白さを、皆さんと一緒に気楽に楽しみましょうという内容です。
江戸時代や見世物に関して、なんの知識もないよ~という方も大歓迎!
いや、むしろ私に語らせて!と仰る熱いマニアさまも大歓迎!
単に暇つぶししたい方も全力ウェルカム!
少しでもご興味をもってくださった方は、6月3日、金曜の夜、くしゃまんべさんに集合です!

正直、こういったイベントを行なうのは初めてなので、いろいろと行き届かない面、お聴き苦しい点もあろうかと思いますが、「ゆる江戸」の本誌に書いた内容はもちろん、それ以外の話もたくさんさせていただくつもりですし、川柳を読みながら、皆さんと一緒に状況を想像するコーナーなど出来る限り楽しんでいただけるよう、ただいま内容をつめております。

ぜひぜひ、たくさんの方のお越しを心からお待ちしております。
どうぞよろしくお願いいたします。

※このような貴重な機会をいただいた、古書カフェ「くしゃまんべ」さまと、山本 静さまに心から感謝いたします。
また、ゆる江戸をお読みいただいた方、感想をいただいた方、Twitterでリツイートやお気に入りをしてくださった方、皆さんのおかげでこのイベントに踏み切ることができました。ありがとうございます。
ぜひとも、今後ともよろしくお付き合いくださいませ…!

2016/04/13

浮世絵とエドワード・ゴーリーの秘密の関係?

エドワード・ゴーリー展が伊丹市立美術館で開かれていると知り、さっそく行って来ました。

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伊丹市立美術館
「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展」
2016年4月2日~5月15日



ゴーリーで最も有名なのは、絵本「うろんな客」だろうと思います。

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この絵本が出たとき書店で手にして衝撃をうけた私は、そのとき使い始めたばかりのiMacを使い、さっそくネットサーフィン(死語!)。濱中利信さん(ゴーリーグッズコレクションの第一人者)が当時は個人的に通販をされておられたのでメールを送り、ポストカードやグリーティングカード、マグカップなどを売っていただいたことがあります。
そのくらい衝撃的な「うろんさ」でした。

今も私の家にはあちこちに、ゴーリーのポストカードが飾ってあります。繊細なペン先が生み出す、独特の不安をかきたてつつもユーモアを感じさせる作品は、何度見ても見飽きません。ゴーリー自身、自分の想いはこめてはいても、それを公表することはほとんどなく、見る人の印象に任せていたというので、私も勝手にその世界を楽しんでいます。

子供のころ感じた、説明のできない不安、怖さ、あるいは理不尽な世界に対する憤りをふと思い出したり。たぶん、大人が思う以上に子供は孤独だと思うんですよね(それは家族構成がどうのという意味ではなく、人間はそもそも一人だという意味で)。
そういえばゴーリーの本は大人向けと思われがちですけど、ゴーリーは子供向けに書いたつもりだったとか。私も昔、「小学校○年生が読む本」とかいうのを押し付けられるの、嫌だったなあ。自分で読む本くらい、自分で決めさせてよ、と思っていました。いやー、マセがきですねやだやだ。

閑話休題。

さて、今回の展覧会。知らない作品もたくさんあって、またゴーリー自身のことも知ることができて、とてもうれしく時間を忘れて見て回りました。

猫が大好きだったゴーリー。

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30歳からバレエにはまって、バレエを題材にした作品も残しています。

そして、一番驚いたのは、ゴーリーが日本が大好きで、源氏物語からとった名前を飼い猫に付けていたこと。「ミカド」というオペラの背景や舞台衣装も担当したそうで、いかにも外国人が描いた日本風俗といった絵も。

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で、ハッと気づいたのですが、これって浮世絵を参考にしてるよね!という作品がちらほら。

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はい、きた、北斎!

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猫好き、浮世絵好きとくればこの後ろ姿の自画像は・・・

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もう国芳からとしか思えません。

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私の好きなものがつながった………っ!



なんて、こんな勝手な楽しみ方もゴーリーなら許してくれそうな気がするから、また好きになりそう。

そうそう、図録も飾っておきたくなるような素敵デザイン。
またまた財布から紙の鳥が羽ばたいていきました。グッバイマイラブ!

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