『見世物大博覧会』の内覧会へ行って来ました!
国立民族学博物館で、2016年9月8日から開催される「見世物大博覧会」。
このたびご縁がありお招きいただきましたので、その内覧会に行ってまいりました。
江戸時代から、明治、大正、昭和まで、庶民に楽しまれて来た見世物を紹介する内容です。
◆会場/国立民族学博物館
◆会期/2016年9月8日~11月29日
※無料観覧日もあります。詳しくは公式HPまで。
さて中に入ると、なんとびっくり!
博物館の中に見世物小屋が…!?
「かに男」、「人間ポンプ」、「謎の人魚」!!
録音された口上(実際の口上人の方のものだそう)が流れ、妖しい空気にドキドキ。
大人600円、中人400円、小人100円かー。細かい作りこみ!
大正末期から見世物興行を続けている安田工業社の絵看板や資料。そして安田里美さんの「人間ポンプ」の貴重な映像が見られます。実際の小屋の様子、安田さんの演技、お客さんの「おおお~~!」というどよめきまで。
さあ、こちらは、「よ!待ってました、早竹虎吉!」
見世物の展示のど真ん中に、この虎吉の見上げるばかりの雄姿!
江戸の見世物好きにはたまりません。幕末の軽業名人、早竹虎吉。彼は大坂・難波新地で名を上げ、江戸の両国で大変な人気を博した大スターでした。晩年アメリカにも渡りますが、残念ながらそのままニューヨークで客死。今ではほとんど忘れられた偉大な芸人の一人です。
大きく飾られたこのパネルを見上げていると、まるで実際にその芸を眺めているよう。
肩に立てた旗竿に子方(子役)をぶらさげながら、三味線をかき鳴らす。
かっこいいー!
そしてもう一つ、江戸の見世物として欠かせない細工物も、見事に再現されていました。
関羽の竹細工人形。これは名古屋市博物館所蔵のものだそう。
名古屋市博物館には、見世物に関する展示が常設展にありますね。実は名古屋は、江戸時代には見世物興行のメッカ。京の四条河原や、大坂の難波新地、江戸の浅草・両国と同じく、名古屋の大須にはたくさんの見世物小屋が並んでいました。
その出し物を絵と文でつづっていたのが、高力猿猴庵という尾張藩士。その記録は、江戸時代の見世物の様子を今に伝える貴重な資料となっています。
彼の絵をもとに再現されたのがこちらの関羽人形の細工物。竹や瀬戸物、羽根、大根、貝など、あらゆる日用品を使って作られる細工物は、この関羽人形の竹細工をきっかけに爆発的にヒットし、化政期から幕末まで一番人気の見世物となりました。
実際にはこの関羽人形は7m以上もあり、再現されたものよりもずっと大きなものだったようですが、雰囲気はよく分かります。これよりもっともっともっと大きいなんて、さぞや当時の人々は度肝をぬかれたことでしょう。
幕末から明治にその名を轟かせた、熊本出身の名人形師。松本喜三郎の生人形も。骨や血管まで浮き上がる、スーパーリアリズムが炸裂しています。
面白いのは、これ、松本順(良順)の生人形なんです。
松本良順といえば、新選組ファンはピンとくるかも?
この作品を作ったのは松本喜三郎ではありませんが(安本亀八の弟子?ちょっとわかりません)、医師・松本良順は松本喜三郎の生人形師としての腕を高く買い、人体模型の作製を依頼しています。喜三郎は解剖などに立合い、見事その依頼に応えたとか(残念ながら、その人体模型は関東大震災で焼失)。
そんな良順自身が生人形になっているとは!
それにしても、ところどころに展示されている江戸の見世物絵のほとんどが「川添コレクション」というすごさ。個人蔵なんだぜ?
江戸時代の見世物の第一人者である川添裕先生は、20代から見世物絵を集めておられるそうですが、その種類の多さと保存状態の良さには驚くほかありません。
ああ、この絵、本で見た!!というのがたくさん。
あれもこれもあれもこれも…ですよ、奥さんんんんん!!
生で見られるしあわせ。
会場にも主催者側としていらっしゃったので、一言ご挨拶させていただきました。
さすがハマっ子!と私のような若輩者(年はいってますが)がいうと失礼でしょうか(先生は横浜の方)。おしゃれなジャケット がひと際目を引く、優しい雰囲気の方でした。
実は今回の内覧会は、先生からのご招待だったのです。
ありがとうございました。
「ゆる江戸」を形にして、こんな機会に恵まれて本当に良かったなあとつくづく思います。
ほかには女相撲や機械の見世物、そして寺山修二の文学の中の見世物まで。
まだまだ語り足りない展示の模様。
しかし見世物は実際に「見て」こそ楽しいもの。
博物館こそ、「見世物」なり。
最後に「なんじゃこりゃ」と笑ってしまったポスターでお別れいたしましょう。
後はぜひ会場で、実際に体験してみてくださいね。
めっちゃ見たい。
※内覧会での写真の撮影、およびブログへの掲載はスタッフの方にご了承いただいております。
<江戸時代の見世物にご興味のある方は…>
「ゆる江戸VOL.1見世物」をオススメします!
これを読めばもっと展覧会が面白くなりますヨ。
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