2017/07/31

ゆる江戸2号発行記念イベント、無事終了しました!

おかげさまで、ゆるく江戸時代のアレコレを楽しむ「ゆる江戸」
2号目を発行いたしました。

ゆる江戸VOL.2グルメ 
<通販サイトへはこちらから>→アリスブックス

今回のテーマは「グルメ」
時代や場所をとわず、生き物が生きるために必要な食を取り上げてしまったために
江戸時代の食のみならず、世界との比較や日本の歴史の中の食など広げに広げた大風呂敷。
畳むのにも呆然と手こずってしまいましたが、
どうにかこうにかまた江戸にもどって来まして形にできました。
ご笑覧いただければ幸いです。

読みどころポイントとしましては、
三重大学准教授・髙尾善希先生から光栄にもご寄稿いただきました
「おいしくて気マズイ」という大変面白い記事。
(お読みいただければわかりますヨ!)
そして、江戸時代の料理本から、現代にも作りやすくアレンジした
江戸料理レシピが付いているところでしょうか。

それに伴い、2017年7月27日(木)に
東京・王子の古書カフェくしゃまんべにおいて

「あなたの知らない江戸の食」というイベントを開催いたしました。


ゆる江戸グルメトークライブチラシ本式_R 

ありがたいことに、告知から1週間ほどで夜の部は完売。
昼の部を追加することになりました。
名も知れぬ私、しかもTwitterでしかほぼお知らせしていなかったのにびっくり。
宣伝にご協力いただいた方々のお蔭です。
そして早速ご予約いただき、お越し下さった方々、
ありがとうございました。

当日は、アットホームな人数でわきあいあいとした昼の部、
ぎっしりとお詰めいただいて熱気あふれた夜の部という感じに。
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会場となった「くしゃまんべ」さん。提灯はmarieさんが買ってきてくださったので「ゆる江戸」と私が筆で書きました。


当日の目玉は、お料理のケータリングなども行なうほか、
ご実家では米作りもされているmarieさんが手作りしてくださった
「再現・江戸料理」
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江戸時代に流行した料理本の中でも、特によく知られている
「豆腐百珍」や「卵百珍」のレシピを忠実に再現。
百珍ものとは、一種類の食材を使ったアレンジレシピ100選のことです。
写真の手前右にある一品は、
「甘藷百珍」から、薩摩芋でつくった鰻もどき。
良く出来ているでしょう?
明暦の大火後に流行した奈良茶飯のおにぎり(写真右上)も、食べごたえあると参加者の方々に好評でした。
なんとなんと、使用した栗はmarieさん自らが採取したものだったり、
フードプロセッサーは使わず、すり鉢とすりこぎで当時の製法のまま作ったというこだわりぶり。
私自身も、またとない貴重な食体験ができて感動しきりでした。
marieさん、どうもありがとうございました。
このお料理があったからこそ、この会も意義の深いものになったと感謝します。



さて、私のほうは拙いながら、
①日本料理の様式とその流れ
②江戸時代の江戸でグルメが流行った理由
③本当に日本人は肉食しなかったのか?
という3本立てでお話させていただきました。

ユネスコ無形文化遺産にも登録された和食ですが、
思えば私は知らないことがたくさんありました。
日本料理が当初から異国料理の影響を強く受け、
また創作料理などさまざまに発展していったことなど、
知れば知るほど好奇心をくすぐられた私の「面白いの!ちょっと聞いて!」
という話をもろもろもろと。

江戸にお詳しい方にとっては既知の情報だったかもしれませんが、
「切り口が面白かった」と言ってもらえたのが大変うれしかったです。

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全員ではありませんが、お越しいただいた方々と♪
参加者の皆さま、本当にステキな一日をありがとうございました。
歴史好きな方と濃ゆいお話ができるのも楽しかったですし、
「歴史はあまり分からないけど、おいしいお食事があると友達に誘われてついてきました」
という方が、「楽しかったです~」と笑顔で帰られたのもうれしやうれし。
お店の竹内さん、武藤さん、marieさんもご尽力ありがとうございます。

これから懲りずに、3号に向けて少しずつ準備していきますので、
またお会いできる機会を楽しみに!

心からの感謝を込めて…!


講演会チラシ_最小 

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2016/12/16

ライターという職業を料理人に例えてみた

職業を聞かれて「ライターです」と答えると、ほとんどの方が「へ~文章を書くお仕事なんですね」と仰いますし、中には「文章書くなんてスゴイね~。私は読書感想文にも苦労したから」とか「よっぽど文章が上手いんでしょうね~」なんて仰る方もいます。基本的にライターなので当然ながら文章は書くのですが、なんとなくこう言われるとライターとしての仕事の曖昧さに自分でもモヤッとしてしまいます。
ライターは文章を書く仕事。ほんとうにそうなの?それだけなの?

そこで自分自身のためにも、ちょっとわかりやすく仕事内容をまとめてみたいと思います。
私は今まで編集の仕事をしながらライティングも行なってきました。芸能人や作家の方へのインタビューやタイアップ広告の担当をしていた時期もありますが、現在は飲食店にまつわる記事のライティングを主な仕事にしていますので、日々、シェフや店長、企業の総務の方などからお話を伺う機会があります。なので、ふとライターの仕事を料理人の仕事に例えてみるとわかりやすいかもしれないと思い付いたので、まあ聞いてください。

レッツトライ!

①仕入れと仕込みが大切!
こだわりをもったお店のシェフは、たとえば毎朝市場へ出かけたり、安心できる契約農家の方と提携して食材を仕入れます。鮮度や脂ののり方など食材の目利きの力も大事。今まで自分が修業してきたお店から仕入ルートを紹介してもらったり、実際に自分で開拓することもあるでしょう。さらに仕入れた食材は、丁寧に殻を剥いたり、骨を取ったり。下処理や仕込みにも手をぬきません。

ライターの仕事もまず、この「ネタ」を仕入れるところから始まります。インタビューをするのであれば、取材相手やテーマについて調べ、インタビュー内容を考え、必要があれば取材シートなどを作成して実際に相手と会ってテーマに沿った内容を聞きだします。もちろん書面や電話でやりとりする取材もありますし、直接の接触はなしで貰い資料から文章を起こすときもあります。いずれにしろ、事前に資料を読み込んだり、不足があればほかの資料にもあたるなど下調べが必要で、何を核にして原稿を書くのが、その材料をきちんとそろえなければいけません。

②下ごしらえから調理まで。実はココが腕の見せ所?
さて、食材がそろったら料理人はその食材にあうメニューや調理法を考えるでしょう。旬の鮮魚の味わいを活かすには、そのままカルパッチョにしてもいいし、皮はパリッと身はふんわりと焼き上げるポワレもいいかもしれません。そこはお店のコンセプトやお客様のニーズ、シェフの個性も入ってくるところ。

ライターの仕事なら、この工程は構成やキャッチコピーを考える部分になるでしょうか。限られた文字数の中で、どの情報を頭にもってくるか、どう紹介すべきか、シリアスに書くべきか、少しユーモアをまじえるべきか、題材や読者層にあわせて考えます。実は読み物というのは、説明の順番、つまり構成こそキモだと私は思っているのですが、組み立てによって分かりやすさや面白さは変わってきます。そこが難しく悩ましい、でも楽しくもありますね。

③いよいよ、盛りつけ。つまりこの工程が…?
さあ、料理が仕上がりました。料理人はこの後、お皿に盛り付けをしていくでしょう。いかにも洗練された前衛アートのような一皿になるか、素朴だけどほっとする一皿になるかは、料理人のセンスや意図次第。

ライターの仕事でいうと、ここがまさに「文章を書く」という部分かと思います。文体や使う用語、漢字の多さ少なさまで、媒体によってさまざまですが、今まで手に入れて組み立てた材料を紙の上へ(といっても今はPC上へが多いでしょうが)読者へ向けて盛り付けていくわけです。


以上が、ざっくりとしたライターという職業の説明でした。もちろん、料理人といってもジャンルやお店の方針などによっていろんなやり方や、気を付けるべきポイントがあるのと同じように、ライターと一口に言っても一般紙か専門誌か、扱う題材によっても変わる部分はあるでしょう。

しかし、①と②がいい加減なお店に積極的に行きたいと思うでしょうか?こう見てみると、実はライターの仕事として一番イメージされる③は、実際のところそう上手い必要はないことがお分かりいただけるでしょう。私も自分の文章が上手いなどとは、とてもじゃないけれど思ってもいません。もちろんおいしさが伝わるような盛り付けは大切ですが、盛りつけだけが素晴らしくてもそれは安心できるおいしい料理とイコールではない。ライターもまさしく同じで、どのような内容の原稿であれ、①と②が粗雑だと信用できる内容にはなりません。③ばかりを練習しても、ライターの仕事を受ける上ではあまり意味はないということになります。

こうして書いてみると、冒頭にお話しした「読書感想文も書けなかったわ」という人は、いきなり白紙の原稿用紙に鉛筆をもたされて悩んでしまったのだろうなと思うのです。大切なのは、文章よりもまず、その本のどのフレーズが心に残ったのか、主人公と自分に共通するところはあるかないかなど、先に考えて材料をそろえる作業。そうしてはじめて、ではそれをどんな順番で書いていったらいいかな、という構成に移り、ようやく書き進められることになるわけです。私の経験上ですが、文章を書く前の①と②の作業が上手くいけば、③で深く悩みすぎて筆が止まることはほとんどありません。
そうさ、①と②があってこそ、③があるのさ!

※上記は、あくまで私自身の経験からざっくり書いたもので、もっと違うジャンルの方にとってはまた違うコツやポイントがあるかもしれません。
でも、「ライターってどんな職業なの?」と漠然と思っている方や、これからライターをめざしてみようかな、という方。あるいは文章が苦手で困っている、という方の参考に少しでもなればいいなと思っています。まあ、私も毎日、試行錯誤状態なので大きなことは言えませんけどね…。



2016/10/29

「アウトロー近世遊侠列伝」を読む

高橋 敏編「アウトロー近世遊侠列伝」を読みました。
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幕末を駆け抜けたのは志士だけではありません。
無宿人や博徒、侠客と呼ばれた江戸時代のアウトローもまた、幕末の動乱期に善悪両面において大いに活躍(?)していました。実は、彼らは犯罪者や犯罪者予備軍と恐れられていただけでなく、幕府組織の末端を支える重要な役割も担っていたのです。悪は悪をもって制すという考えがありますが、時に彼らは代官の手先となったり癒着したりして、悪党ながら江戸近郊の治安維持のためにも働くという二足の草鞋を履くこともあったとか。

清濁入り混じる当時の社会の一面、そして講談や芝居でお馴染みの悪党たちの真実の姿が面白い。捕まっても島抜けはする、ぼったくり居酒屋を開く、役人らと大立ち回りを演じる、彼らを助ける女パトロンも現れる、磔(はりつけ)になるのに歌舞伎の二枚目に扮装した衣装で役人たちに護送される…。一つ一つの史実エピソードが、これはもう講談師がハリセンを叩かねば始まらないという話ばかり。

また幕府(お上)に不満をもつ村人たちにより、多くの指名手配犯が匿われた事実も。蛮社の獄で捕まりその後脱獄した思想犯・高野長英も一時期下総の国で匿われていましたが、それもかの地にはそういう環境があったということで、当時の実情がいろいろと明確に見えてきて興味深いところです。

島送りになった罪人が島から脱出することを島抜けといいますが、それがどのように行われたのか。また、無宿者は宿無しという意味ではなく人別帳から外された者を指しますが、彼らはその後どのように過ごしていたのか。知れば彼らが物語の中の人物ではなく、一気に生々しく実在の人物として浮かび上がってきます。本の中には、彼らの死亡年齢や死因などもまとめられていますが、好き勝手にドラマのような人生を生きているように思えてその実、わざわざ苦労の多い道を選んでいるとも見えるのがなんともかんとも…。

お馴染みの国定忠治はもちろん、鳥も通わぬ八丈島から抜けた佐原喜三郎、戊辰戦争で赤報隊へ入隊した黒駒勝蔵、武州世直し一揆を鎮圧した博徒の小川幸蔵などなど、泣く子もだまる大親分たちが勢ぞろい。
この先は、ぜひ本書で!


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<小川幸蔵についてはこちらでも>
本書の小川幸蔵のページを担当されている高尾善希先生のブログにも、幸蔵の逸話が掲載されています。

<侠客好きならオススメ!>
特に映画の時代劇をもとに、当時の侠客と時代をさぐるかっこいいノンフィクション。
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2016/09/07

『見世物大博覧会』の内覧会へ行って来ました!

国立民族学博物館で、2016年9月8日から開催される「見世物大博覧会」。
このたびご縁がありお招きいただきましたので、その内覧会に行ってまいりました。
江戸時代から、明治、大正、昭和まで、庶民に楽しまれて来た見世物を紹介する内容です。

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◆会場/国立民族学博物館
◆会期/2016年9月8日~11月29日
※無料観覧日もあります。詳しくは公式HPまで。

さて中に入ると、なんとびっくり!
博物館の中に見世物小屋が…!?
「かに男」、「人間ポンプ」、「謎の人魚」!!

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録音された口上(実際の口上人の方のものだそう)が流れ、妖しい空気にドキドキ。
大人600円、中人400円、小人100円かー。細かい作りこみ!

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大正末期から見世物興行を続けている安田工業社の絵看板や資料。そして安田里美さんの「人間ポンプ」の貴重な映像が見られます。実際の小屋の様子、安田さんの演技、お客さんの「おおお~~!」というどよめきまで。




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さあ、こちらは、「よ!待ってました、早竹虎吉!」
見世物の展示のど真ん中に、この虎吉の見上げるばかりの雄姿!
江戸の見世物好きにはたまりません。幕末の軽業名人、早竹虎吉。彼は大坂・難波新地で名を上げ、江戸の両国で大変な人気を博した大スターでした。晩年アメリカにも渡りますが、残念ながらそのままニューヨークで客死。今ではほとんど忘れられた偉大な芸人の一人です。
大きく飾られたこのパネルを見上げていると、まるで実際にその芸を眺めているよう。
肩に立てた旗竿に子方(子役)をぶらさげながら、三味線をかき鳴らす。
かっこいいー!

そしてもう一つ、江戸の見世物として欠かせない細工物も、見事に再現されていました。

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関羽の竹細工人形。これは名古屋市博物館所蔵のものだそう。
名古屋市博物館には、見世物に関する展示が常設展にありますね。実は名古屋は、江戸時代には見世物興行のメッカ。京の四条河原や、大坂の難波新地、江戸の浅草・両国と同じく、名古屋の大須にはたくさんの見世物小屋が並んでいました。
その出し物を絵と文でつづっていたのが、高力猿猴庵という尾張藩士。その記録は、江戸時代の見世物の様子を今に伝える貴重な資料となっています。
彼の絵をもとに再現されたのがこちらの関羽人形の細工物。竹や瀬戸物、羽根、大根、貝など、あらゆる日用品を使って作られる細工物は、この関羽人形の竹細工をきっかけに爆発的にヒットし、化政期から幕末まで一番人気の見世物となりました。
実際にはこの関羽人形は7m以上もあり、再現されたものよりもずっと大きなものだったようですが、雰囲気はよく分かります。これよりもっともっともっと大きいなんて、さぞや当時の人々は度肝をぬかれたことでしょう。



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幕末から明治にその名を轟かせた、熊本出身の名人形師。松本喜三郎の生人形も。骨や血管まで浮き上がる、スーパーリアリズムが炸裂しています。

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面白いのは、これ、松本順(良順)の生人形なんです。
松本良順といえば、新選組ファンはピンとくるかも?
この作品を作ったのは松本喜三郎ではありませんが(安本亀八の弟子?ちょっとわかりません)、医師・松本良順は松本喜三郎の生人形師としての腕を高く買い、人体模型の作製を依頼しています。喜三郎は解剖などに立合い、見事その依頼に応えたとか(残念ながら、その人体模型は関東大震災で焼失)。
そんな良順自身が生人形になっているとは!

それにしても、ところどころに展示されている江戸の見世物絵のほとんどが「川添コレクション」というすごさ。個人蔵なんだぜ?
江戸時代の見世物の第一人者である川添裕先生は、20代から見世物絵を集めておられるそうですが、その種類の多さと保存状態の良さには驚くほかありません。
ああ、この絵、本で見た!!というのがたくさん。

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あれもこれもあれもこれも…ですよ、奥さんんんんん!!
生で見られるしあわせ。
会場にも主催者側としていらっしゃったので、一言ご挨拶させていただきました。
さすがハマっ子!と私のような若輩者(年はいってますが)がいうと失礼でしょうか(先生は横浜の方)。おしゃれなジャケット がひと際目を引く、優しい雰囲気の方でした。
実は今回の内覧会は、先生からのご招待だったのです。
ありがとうございました。
「ゆる江戸」を形にして、こんな機会に恵まれて本当に良かったなあとつくづく思います。

ほかには女相撲や機械の見世物、そして寺山修二の文学の中の見世物まで。
まだまだ語り足りない展示の模様。
しかし見世物は実際に「見て」こそ楽しいもの。
博物館こそ、「見世物」なり。

最後に「なんじゃこりゃ」と笑ってしまったポスターでお別れいたしましょう。
後はぜひ会場で、実際に体験してみてくださいね。

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めっちゃ見たい。


※内覧会での写真の撮影、およびブログへの掲載はスタッフの方にご了承いただいております。

<江戸時代の見世物にご興味のある方は…>
「ゆる江戸VOL.1見世物」をオススメします!
これを読めばもっと展覧会が面白くなりますヨ。



2016/07/01

「俺たちの国芳わたしの国貞」展、行って来ました<2>

神戸市立博物館「俺たちの国芳わたしの国貞」展の感想、その2.

その1はこちら→


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ベロ藍一色で描かれた高級遊女。と思いきや唇だけ紅い。フルカラーとはちがった艶やかさが際立ちます。画像は国貞の絵を展示用にしたものだけれど、憧れの美しい遊女が座敷へ入って来た、息がとまるようなその一瞬を彷彿とさせますね。今回の展示ではこういう遊び心あふれる仕掛けがたくさんあって、そういうところも非常に楽しかったです。

例えば、説明文のキャッチも「当世艶姿考」はアデモード・スタイル、「髑髏形彫物伊達男」はスカル&タトゥー・クールガイと読ませるなどイキイキと躍っていて、おそらく江戸時代の人々がまさに当世流行スタイルとして楽しんだだろう、その感覚をなぞるような気持ちになれるのが面白い。

ふきだしなども付いていて、八百屋お七が半鐘を鳴らして木戸を開けさせ、飛び降りる刹那の絵に「滑空する殉愛」。胸元を開いて団扇を仰ぐ美女に一言「俺は風になりたい」などなど。


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そんな中でも、とびきりかっこいいなと思ったのがこちらのキャッチ。
「畏怖大海原(ホラーオブウォーター)」。
荒れ狂う海の中、怪物のように巨大な姿を現す鰐鮫。壮大なファンタジー戦記を描いたこの3枚続きの絵は、江戸の人々の度肝をどれほど抜いたことでしょうか。

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「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」歌川国芳

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有名な絵ではありますが、近づいてみると鱗の表現すごい…!

同じくこちらの海底の図も、なんとも不気味。

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「大物之浦海底之図(だいもつのうらかいていのず)」歌川国芳

壇ノ浦で滅亡した総大将・平知盛ら平家一門が、亡霊となって義経に仇を討とうと海底で陣を張るところ。もはや平家だけど人にあらずの風情がビシバシ伝わってきます。

また江戸時代の見世物について調べている私にとって、国芳の描いた早竹虎吉の絵や、一ツ家の鬼婆の絵の実物を見ることができたのもうれしかったです。七之助丈の音声ガイドで、一ツ家の鬼婆の絵の解説に、「この絵はお寺に奉納され、その後この絵をもとに生人形が作られたといいます」とのこと。おそらくその生人形を作った人形師は松本喜三郎でしょう。喜三郎の鬼婆は、あまりに真に迫っていて夜中に声をあげるといって処分されかけたとか。しかしその鬼婆の生人形の見世物絵をまた国芳が描いているのですよね。ぐるっと回ってる?

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「江戸ノ花 木花渡(えどのはな このはなわたり) 早竹虎吉」歌川国芳

幕末の軽業名人・早竹虎吉は、30種類以上もの錦絵が一度に刷られるなど、大坂・江戸など各地で大変な人気を集めました。

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この絵もよく見ると、右の子供がめちゃくちゃ不安そうな顔をしているのに気づきました(笑)
片方の子は楽しそうなんですが、こういうところに気づく国芳もハラハラしながらこのワザを見上げていたんでしょうか。

そのほか、「狂画水滸伝豪傑一百八人十番続之内」なども面白かった。ネットや画集などで見慣れているものでも、現物(版画ですが)を前にすると、まだまだ新たな発見や感動がありますね。なるべく美術館・博物館へは足を運ぶべきだなあと強く思った次第。別に館の回し者ではありませんが。

最後に、ショップで、私が一番楽しみにしていた「むだ書き」のマスキングテープがもう売り切れていたことだけが残念でした。あれ再販してくれないかなあ。ないとなると余計欲しくなる。人間だもの。

というところで、まだまだ書き足りない気もしますが、これ以上書いても蛇足なような気もしますのでこの辺で。
これから行かれる方は、どうぞ楽しみにお出かけくださいね。




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